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コンサート日記2006年


2006年12月10日(日)(3:00pm開演)(5:00pm終演)
フレッシュ名曲コンサート
モーツァルトイヤー・ファイナル・ガラコンサート
会場:新宿文化センター大ホール
ホルン:ヨハネス・ヒンターホルツァー
ピアノ:イリーナ・メジューエワ
ソプラノ:本松三和
オルガン:高橋博子(新宿文化センター専属オルガニスト)
指揮:金聖響
管弦楽:東京都交響楽団
曲目:オール・モーツァルト
ホルン協奏曲第4番 変ホ長調K.495
ピアノ協奏曲第23番 イ長調K.488
モテット「踊れ、喜べ、幸いな魂よ」K.165
歌劇「魔笛」K.620から夜の女王のアリア「地獄の復讐が我が心に煮えたぎる」
交響曲第41番 ハ長調K.551「ジュピター」
(料金:3000円)2階6列39番
コメント:
 新宿文化センター主催のガラコンサート。ピアノ意外はまずまず楽しめた。ピアノのメジューエワは何度か聴いているけれども、演奏が硬くて乗れない。まあこのコンサートの愁眉はなんと言ってもジュピター。ヴァイオリンが左右対向配置なのはひとえにこの曲のためと思う。第1ヴァイオリンはチェロと、第2ヴァイオリンはヴィオラとシンクロした旋律を奏でているように思えた。で、この曲は、なんとなくベートーヴェンの第7交響曲を感じさせる部分がある。ということはベートーヴェンがジュピターを意識して作曲した、ということなのだろうけれども。とにかく最近聞いた中では最も良い演奏の「ジュピター」だった。こうした演奏会にしてはアンコールなしだったのも珍しかった。
2006年12月9日(土)(5:00pm開演)(7:00pm終演)
Noism06「TRIPLE VISION」
会場:ル・テアトル銀座
「black ice(ver.06)」
振付:金森穣、衣装:堂本教子、美術:高嶺格
出演:井関佐和子/佐藤菜美/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎
「Solo,Solo」
振付:大植真太郎、衣装:Mylla Ek、音楽:Shlomi Frige
出演:青木尚哉/石川勇太/井関佐和子/金森穣/佐藤菜美/高原伸子/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎/山田勇気
「Siboney」
振付:稲尾芳文、衣装:Alin Stern
出演:青木尚哉/井関佐和子/金森穣/佐藤菜美/高原伸子/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎/山田勇気
(料金:A席4500円)24列5番
コメント:
 新潟で初演を見た「Noism06」を今度は東京で見る。会場はかなりたくさんの人が入っていた。外国人やダンサーと思われる人なども多く、Noismに対する関心の高さが伺われる。実際、公演後のトークで、「今までこれほどの観客の前で踊ったことはない」という発言もあったほど。2度見て、やはり「black ice」が一番面白いというのは変わらないが、全くわけがわからなかった「Solo,Solo」も少しは面白味がわかってきたかもしれない。「Siboney」はとにかく選曲が絶妙。それに合わせてとにかく踊りまくるというプログラムでそれはそれでNoismの魅力を浮き立たせてくれる。
 アフタートークでは、ダンサーがせりふを言うことについての質問があったが、ダンサーは肉体を使って表現するのが仕事。声を出すのも肉体を使うことであり、全く違和感はない、ということだった。ダンスという枠組みを狭く考えすぎている自分にとって目から鱗とも思える発言だった。Noismは今後どのようなステージを見せてくれるのだろうか。
2006年12月1日(金)(7:00pm開演)(9:00pm終演)
アダルベルト・スコチッチ&丹生谷佳惠デュオ・リサイタル
会場:だいしホール(新潟市本町通7)
チェロ:アダルベルト・スコチッチ
ピアノ:丹生谷佳惠
曲目:
フランク/ソナタ イ長調
フォーレ/エレジー、パピヨン、シシリアンヌ
ラヴェル/ハバネラ
カザルス/鳥の歌
サン・サーンス/白鳥
カサド/愛の言葉
ドヴォルザーク/ロンド
チャイコフスキー/奇想的小品
ショパン/ノクターン 作品9−2
ショパン/序奏と華麗なポロネーズ
(アンコール:ラフマニノフ/ヴォカリーズ)
(アンコール:フランケル/ソナタ第1番 第2楽章アレグロヴィーヴォ)
(料金:全席自由3000円)
コメント:
 前半はフランクのソナタ、後半は名曲コンサートというプログラム。スコチッチはウィーン歌劇場管弦楽団やウィーンフィルのメンバーでもあったというマンハイム出身の、言わば音楽職人である(良くも悪くも)。というわけで演奏はかなり「軽い」感じ。丹生谷佳惠(にゅうのやかえ)さんはいい感じだけれども、音の重めのベーゼンドルファーがちょっと足を引っ張ったか。子どもの頃新潟に住んでいたことがあるという縁でこのコンサートが企画されたらしい。ピアノ教室の生徒と思しき親子連れも目立ち、開演前に走り回っていたのでどうなることかと思ったけれども、演奏中は静かにしていてくれたのは良かった。
2006年11月21日(火)(7:00pm開演)(9:25pm終演)
京都市交響楽団+茂山狂言
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:大友直人
管弦楽:京都市交響楽団
コンサートマスター:渡邊穣/グレブ・ニキティン
*狂言:茂山千三郎/茂山正邦
曲目:
チャイコフスキー/「こんぺい糖」〜狂言とオーケストラのコラボレーション(「くるみ割り人形」第1組曲)*
(休憩20分)
マーラー/交響曲第1番 ニ長調「巨人」
(アンコール:ブラームス/ハンガリー舞曲第1番)
(料金:B席会員3150円)3階L1列16番
コメント:
 狂言を観るのは初めてだが、それもオーケストラとの競演はなかなか面白い試みである。演ずる茂山千三郎、正邦氏はりゅーとぴあでの公演経験もあるという。指揮者は東響でおなじみの大友直人氏、それに京響のフォアシュピーラー席にはグレブ・ニキティン氏もいるなど、馴染みの顔ぶれなのも面白い。「こんぺい糖」と題された狂言(?)は31世紀の未来の研究者が「自然」とは何かについて考えているという内容。何より独特のしぐさ、声がいいのだ。今度是非狂言を見てみたいと思わされた。
 後半は京響のみでマーラーの交響曲第1番の演奏。この曲が終わってすでに9時15分というのにおまけにアンコールまで用意してあるというサービス振り。しかし観客はおよそ600人弱というさびしさ。最近本当にクラシックの観客が減っていて悲しい限りである。
2006年11月10日(金)(7:00pm開演)(9:00pm終演)
Noism06 TRIPLE Vision
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
「black ice(ver.06)」
振付:金森穣、衣装:堂本教子、美術:高嶺格
出演:井関佐和子/佐藤菜美/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎
「Solo,Solo」
振付:大植真太郎、衣装:Mylla Ek、音楽:Shlomi Frige
出演:青木尚哉/石川勇太/井関佐和子/金森穣/佐藤菜美/高原伸子/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎/山田勇気
「Siboney」
振付:稲尾芳文、衣装:Alin Stern
出演:青木尚哉/井関佐和子/金森穣/佐藤菜美/高原伸子/中野綾子/平原慎太郎/宮河愛一郎/山田勇気
(料金:会員4500円)2階15列24番
コメント:
Noismが外部の振付師を招いて演じるプログラム。だが、3つの演目のうち、もっとも面白かったのはやはり金森穣演出の「Black ice」だ。肉体の持つ可能性を存分に表現していて面白い。「Solo,Solo」は、んーこれがダンスなんだろうか、という感じ。ちょっとついていけない。下手な演劇っていうところだ。
2006年10月27日(金)(7:00pm開演)(8:45pm終演)
山本真希オルガンリサイタルシリーズ グレンツィングオルガンの魅力
No.1ドイツのオルガン曲 バッハからロマン派、そして現代へ
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
曲目:
J.S.バッハ/幻想曲 ト長調BWV.572
     /「われらみな唯一の神を信ず」BWV.740
     /「主よ、人の望みの喜びよ」BWV.147
     /「目覚めよ、と呼ぶ声がして」BWV.645
     /トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564
(休憩20分)
岡坂慶紀/みやび オルガンのために
ブラームス/11のコラール前奏曲 作品122より「わが心の切なる喜び」「装いせよ、おお愛する魂よ」
レーガー/コラール幻想曲「ハレルヤ!ほむべき神はわが心の喜び」
(アンコール:メンデルスゾーン/ソナタ第3番よりアンダンテ」
(料金:指定席会員1350円)2階C6列11番
コメント:
 今年から3代目のりゅーとぴあ専属オルガニストになった山本真希さんのオルガンシリーズ第1回である。バッハの有名曲から現代作家の曲まで幅広い曲目でオルガンの魅力を紹介。というところだけれども、どうもりゅーとぴあのオルガンの音色があまり好きになれない。そしてオルガンのリサイタルはステージが暗いのでどうしても眠くなってしまう。
2006年10月24日(火)(7:00pm開演)(9:05pm終演)
歌の花束Vol.17
ジュゼッペ・サッバティーニ テノール・リサイタル
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
テノール:ジュゼッペ・サッバティーニ(Guseppe Sabbatini)
ピアノ:マルコ・ボエーミ(Marco Boemi)
曲目:
ベルゴレージ/もしも貴方が愛してくれるなら
ボノンチーニ/羊飼いの娘よ
ジョルダーニ/我が愛しき人よ
ガルダーラ/愛しの君よ
トスティ/理想の人、セレナータ、漁夫は歌う
モーツァルト/彼女の安らぎこそ我が願い(ドン・ジョヴァンニから)
(休憩20分)
ガスタルドン/禁じられた音楽
マリオ/遥かなるサンタ・ルチア
ディ・クルティス/君を求めて、忘れな草
カニオ/恋する兵士
ドニゼッティ/私は海の中に家を建てたい
プッチーニ/誰も寝てはならぬ(トゥーランドットから)
(アンコール:カプア/「オー・ソレ・ミオ」ほか2曲)
(料金:A席会員5400円)
コメント:
 サッバティーニは新潟がお気に入りらしく、1999年の「オペラ愛の妙薬」、2003年のリサイタルに引き続き3度目の登場だそうな。この日のプログラムはイタリア古典歌曲とカンツォーネという彼の魅力を存分に堪能できるプログラム。鳴り止まぬ拍手の後に2曲アンコールの後に「オー・ソレ・ミオ」で締めくくった。観客は少なめだったけれども、熱気あふれる観客の様子に何度もカーテンコールを繰り返して応えていたのが印象的だった。
2006年10月1日(日)(2:30pm開演)(4:40pm終演)
日本フィルハーモニー交響楽団第162回サンデーコンサート
<コバケン・ガラVol.2〜コバケンのアダージェット>
会場:東京芸術劇場
指揮・ピアノ*とお話:小林研一郎
ヴァイオリン:千住真理子**
コンサートマスター:扇谷泰朋
曲目:
ヴォルフ=フェラーリ/オペラ「マドンナの宝石」より第2幕への間奏曲
エルガー/愛の挨拶**
ポンセ/エストレリータ**
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番より第2楽章**
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲より第2楽章**
イギリス民謡/アメージング・グレース*
モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番より第2楽章*
ベートーヴェン/交響曲第7番より第2楽章
(休憩15分)
チャイコフスキー/交響曲第3番「ポーランド」より第3楽章
マーラー/交響曲第5番より第4楽章
マーラー/交響曲第3番より第6楽章
(料金:C席4200円)3階K列55番
コメント:
 久しぶりの東京芸術劇場。やはりこのホールは一番後ろの席が音響的にベストと思う。オフ・マイクのコバケンさんの声もちゃんと聞き取れるくらい。オーケストラのハープの音をこれほど明瞭に聞き分けられることができるホールは滅多にない。
 今回のコンサートはコバケンによるアダージェット特集。アダージェットとはアダージョよりは速めに演奏するという支持記号であるけれども、ヴィスコンティ監督の映画「ベニスに死す」でマーラーの交響曲第5番の第4楽章アダージェットが印象的に使われたことから叙情的に歌い上げる曲の代名詞となっている感がある。今回の演奏曲目でベートーヴェンの第7番の第2楽章を「不滅のアダージェット」とコバケンは言っているが、実はこの曲はワーグナーが「不滅のアレグレット」と言ったものらしい。アレグレットとはアレグロより遅め、すなわちアダージェットと言ってもいいだろうという解釈だと思う。とにかくモーツァルトのピアノ協奏曲23番、チャイコフスキーのポーランドの第3楽章とあわせて陰気な、葬送曲のような趣の曲をプログラムの中ほどに配置。そしてアダージェットの代名詞とも言えるマーラーの交響曲第5番を経て第3番の第6楽章の壮大なエンディングでプログラムを締めくくる。
 こうした、テーマを持ったプログラムというのも通常の演奏会とは違った趣があって楽しいものだ。ヴァイオリンの千住真理子さんについては、演奏技術そのものというよりもちょっと装飾過剰な演奏解釈がちょっと気になるなあ。
2006年9月18日(月祝)(2:00pm開演)(3:55pm終演)
田部京子とモーツァルト祝祭カルテット
会場:新潟市音楽文化会館ホール
ピアノ:田部京子
ヴァイオリン:水鳥路/黒木薫、ヴィオラ:金子なお、チェロ:服部誠
曲目:<オール・モーツァルト>
幻想曲 ニ短調K.397
ロンド ニ長調K.485
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調K.311「トルコ行進曲つき」
(休憩15分)
歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492(弦楽四重奏版)
ピアノ協奏曲第12番 イ長調K.414/K.385p(モーツァルトによるピアノと弦楽四重奏編曲版)
(アンコール:モーツァルト/ピアノ四重奏第1番より第3楽章)
料金:3500円
コメント:
 毎年恒例となっている田部さんのコンサート。今回は弦楽四重奏を伴ってモーツァルトプログラムである。11番から13番のピアノ協奏曲は弦楽4部でも演奏できるよう作曲されているということで、こういう試みもまた面白い。ただ、弦楽四重奏がちょっと力不足という気がした。突然の暑さで楽器の調子が悪かったのだろうか。田部さんの演奏はいつもながら、安心して聞いていられる。こういう軽やかなモーツァルト、とってもいいですね。
2006年9月17日(日)(2:00pm開演)(3:50pm終演)
新潟市ジュニアオーケストラ教室 第25回演奏会
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:B合奏/上野正博、A合奏/藤井裕子
曲目:
<A合奏>
ウッドハウス/いなかの踊り
ウッドハウス編/ハイドンのメロディー
エルガー(ウッドハウス編)/威風堂々第1番よりテーマ
<B合奏>
ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
(休憩15分)
フランク/交響曲ニ短調
(アンコール:エルガー/威風堂々第1番)
料金:無料
 新潟市ジュニアオーケストラ教室はなかなかすぐれた演奏をするので、今回も楽しみだったが、入場時間に遅れてしまい、休憩後のフランクの交響曲のみを聞く。この曲はオルガンを使わずにオルガンの響きを意識して書かれている曲で、芸大でも入学直後の学生オケの課題曲にもなっているという基礎的な技術を要求される難曲だという。だが、その曲を的確な演奏で見事に聞かせてくれている。非常にメリハリのある演奏で、感心してしまう。指導者の先生方が賛助出演しているという点を加味しても、なかなかの演奏である。ハープの賛助はおなじみ山宮るり子さん。新潟のアマオケ演奏には欠かせない人になっている。来年には全国のジュニアオケを招いてジュニアオーケストラフェスティバルが新潟で開かれるという。今から楽しみである。
2006年9月10日(日)(5:00pm開演)(6:50pm終演)
東京交響楽団 第38回新潟定期演奏会
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:ユベール・スダーン
クラリネット:赤坂達三
曲目:
モーツァルト/フリーメイソンのための葬送音楽K.477
モーツァルト/クラリネット協奏曲 イ長調K.622
(休憩20分)
モーツァルト/交響曲 第41番ハ長調「ジュビター」K.551
(アンコール/モーツァルト:行進曲 ニ長調 K.62)
料金:B席会員2800円
コメント:
 東響新潟定期はいつもながらいい雰囲気のコンサートである。オーケストラの入場を観客が拍手で迎え、オーケストラも全員揃うまで立って拍手に応えるという形が定着している。演奏後の拍手も指揮者のスダーンが何度も何度も満足そうに受けて、「新潟の観客はワンダフルです」と挨拶。こういう関係を長く続けていって欲しいものだ。
 演奏はモーツァルト奏者として定評のあるスダーンらしい、溌剌とした演奏ぶり。特にジュピターは素晴らしかった。赤坂達三のクラリネットも手堅いけれども、もうちょっと派手でもよかったかな。
2006年9月2日(土)(6:00pm開演)(8:00pm終演)
NHK交響楽団第1574回定期演奏会Aプログラム
会場:NHKホール(東京)
指揮:外山雄三
コンサートマスター:堀正文
曲目:
尾高尚忠/交響曲第1番 作品35(第2楽章は初演)
(休憩15分)
マーラー/交響曲第5番 嬰ハ短調
コメント:
尾高尚忠の交響曲第1番は1948年に作曲されたものだが、最近第2楽章が発見され、この日が初演となった。いわゆる現代音楽的な曲ではなく、美しい曲である。こうした曲がもっと演奏されるようになるといいと思う。マーラーの第5番はオープニングからトランペットソロが鳴り響くが、これがちょっと低調。(ソロは関山さん)それ以外にも全体的に冴えない印象だったのはやはり主力メンバーが松本に取られている影響なのだろうか。この時期のオケはサイトウキネンに主力を取られて抜け殻、なんていう悪口を聞くけれども、こういう時こそ、控えメンバーの奮起を期待したいところである。
2006年7月29日(土)(4:00pm開演)
安永徹&市野あゆみ デュオコンサート
会場:浜離宮朝日ホール(東京都中央区)
ヴァイオリン:安永徹
ピアノ:市野あゆみ
曲目:
プロコフィエフ/5つのメロディー 作品35bis
ドビュッシー/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
モーツァルト/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ
(休憩)
プロコフィエフ/ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番ヘ短調作品80
(アンコール:エルガー/朝の歌)
(アンコール:ラフマニノフ/ヴォカリーズ)
コメント:
ベルリンフィルのコンサートマスター、安永さんと夫人の市野さんの夫婦リサイタル。ここでは、市野さんがメインで安永さんがエスコート役というコンサートになっていた。オーケストラのコンサートマスターはソリストと対極の仕事であり、両立は難しいと思う。流石に技術的にはもちろん、問題はないのだが、多くの個性をまとめていくコンマスと自らの個性を全面に押し出すソリストでは役割が違いすぎるのだ。この日もちょっと安永さんにソリストとしての物足りなさを感じてしまった。
2006年7月20日(木)(7:00pm開演)
3大ピアニスト名曲コンサート
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
ピアノ:横山幸雄/青柳晋/近藤嘉宏
音楽案内人:加羽沢美濃
曲目:
チャイコフスキー/花のワルツ(近藤/青柳)
ショパン/幻想即興曲、子犬のワルツ、プレリュード第24番(近藤)
ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女、喜びの島(青柳)
ショパン/英雄ポロネーズ、エチュード「革命」(横山)
ラフマニノフ/2台ピアノのための組曲第2番第4楽章「タランテラ」(青柳/横山)
(休憩15分)
ピアノ名曲メドレー(ドビュッシー/月の光、ベートーヴェン/月光・エリーゼのために、シューマン/トロイメライ)(加羽沢)
ラヴェル/水の戯れ(近藤)
リスト/ハンガリー狂詩曲第6番(近藤)
横山幸雄/アヴェ・マリア(バッハ=グノーの主題による即興)(横山)
リスト/マゼッパ(横山) リスト/愛の夢、ラ・カンパネラ(青柳)
横山幸雄/祝祭序曲(横山/近藤)
(アンコール:ショパンの「別れの曲」によるお別れの曲(連弾2台))
料金:S席4000円
コメント:
“3大”というのはかなり大げさなタイトルだけど、加羽沢さんを中心に集まった3人のピアニストの競演は楽しい。横山幸雄と加羽沢さんが小学生以来の同級生というのはびっくり。横山氏は演奏先のピアノの型番をかならずチェックするのだそうだ。それは型番の古いピアノは戦災をくぐりぬけたりしてかなり状態の悪いものがあるからなのだそうで、外見はやんちゃ坊主みたいだけれども(失礼!)繊細な人なんだと判った。最後には4人による連弾ピアノ2台による「別れの曲」で楽しいコンサートを締めくくった。、
2006年7月16日(日)(7:00pm開演)
ベルリンフィル12人のチェリストたち
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
曲目:
ドビュッシー/沈める寺
メンデルスゾーン/オラトリオ「エリア」よりテルツェット、ドッペルカルテット
ピアソラ/天使の死
アルヴォ・ペルト/フラトレス(兄弟たち)
ヴェルディ/「聖歌四篇」より アヴェ・マリア
ピアソラ/天使の復活
ジャン・フランセー/「朝のセレナーデ」よりプレスト
ボリス・ブラッヒャー/エスパニョーラ
ショスタコーヴィチ/リリック・ワルツ
ヴィルヘルム・カイザー=リンデマン/“12人”のためのボサ・ノヴァ(ブラジル風変奏曲)
わらべうた(三枝成彰編)/ずいずいずっころばし
ガーシュウィン/クラップ・ヨー・ハンズ
エンニオ・モリコーネ/映画「ウエスタン」より ザ・マン・ウィズ・ザ・ハーモニカ
ジョルジ・ベン/マシュ・ケ・ナダ
チャブーカ・グランダ/肉桂の花
ピアソラ/フーガと神秘
(アンコール:ピアソラ/リベル・タンゴ)
(アンコール:瀧廉太郎/荒城の月)
(アンコール:ヘンリー・マンシーニ/ピンク・パンサーのテーマ)
料金:A席会員=6300円
コメント:
チェロだけなのになんという音の広がりだろう。この楽器の持つ可能性を見せてくれたコンサート。CDも買ったけれども実演のほうが圧倒的にすばらしい(当然だが)。
2006年7月13日(日)(6:30pm開演)(8:30pm)
ザ・アイリッシュダンス ラグース-RAGUS-
会場:新潟県民会館大ホール
料金:A席5000円
ダンサー:ダニー・ダガン/ジェラルディン・レーディほか
歌手:マーガレット・ブレナン
ミュージシャン:ファーガル・マーフィ
コメント:
 アイリッシュ・ダンスはイングランドの支配により伝統的文化活動が一切禁じられたなか、400年の間室内でひっそりと伝えられた踊りだという。愛知万博で偶然アイルランド館でアイリッシュ・ダンスの実演を見ていたので話題のラグースを見に行った。正直に言えば、そうした伝統の素朴さはなく、観光化によってショーアップされた代物、という感じである。TV番組で持ち上げられたものというのは得てしてそういう傾向がある。その分一般的には受け入れやすいのだろうけれども、心に迫るものはなくなってしまっている気がするのだ。
2006年7月9日(日)(5:00pm開演)(7:20pm)
東京交響楽団 第37回新潟定期演奏会
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:秋山和慶
ピアノ:ジョン・ナカマツ(Jon Nakamatsu)
*ピアノ・トリオ:佐山雅弘M's(ピアノ:佐山雅弘、ベース:小井政都志、ドラムス:大坂昌彦)
ゲスト・コンサートマスター:パヴェル・ボガチュ(Pavel Bogacz=スロバキア・フィル第1コンサートマスター)
曲目:
武満徹/グリーン
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番作品30
(アンコール:ショパン/幻想即興曲)
(休憩20分)
バーンスタイン/交響曲第2番「不安の時代」*
(アンコール:チック・コリア/スペイン)
コメント:
 今日はバーンスタインをメインに、武満を前菜、これだけだと客がこないのでラフマニノフを持ってきたプログラム。あまりにもプログラムが異質な感じで散漫な印象。バーンスタインの曲は思いつきで作ったという感じで統合性が無く、散漫な印象。せっかく参加したウッドベースとドラムスは後半にちょびっと登場するだけであまりにもったいない。アンコールが一番うけていたのも皮肉なことである。ジャズのアンコールが印象強すぎて前半のピアノがかすんでしまったが、このひともなかなかの実力者。難しい曲を鮮やかに見せてくれた。
2006年7月6日(木)(7:00pm開演)(9:00pm終演)
山形由美&ヴェネツィア室内合奏団
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
フルート:山形由美
合奏:ヴェネツィア室内合奏団
曲目:
ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」作品8RV.269より「春」
(ヴァイオリン・ソロ:パオロ・チョチョーラ)
ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」作品8RV.269より「夏」
(ヴァイオリン・ソロ:グリエルモ・デ・スターシオ)
パガニーニ/ロッシーニの「モーセ」の「汝の星をちりばめた玉座に」による幻想曲
(チェロ・ソロ:ダビデ・アマーディーオ)
サン・サーンス/死の舞踏 作品40
(ヴァイオリン・ソロ:ジャコッベ・ステヴァナート)
(休憩15分)
ヴィヴァルディ/フルート協奏曲 ニ長調作品10-3、RV.428「ごしきひわ」
(フルート・ソロ:山形由美)
マルチェッロ/オーボエ協奏曲 ニ短調第2楽章「アダージョ」
(フルート・ソロ:山形由美)
チコニーニ/サマータイム・イン・ヴェニス
(フルート・ソロ:山形由美)
ジョナン/ヴェニスの謝肉祭
(フルート・ソロ:山形由美)
(アンコール:サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン)
(アンコール:ヴィヴァルディ/フルート協奏曲ヘ長調「海の風」より終楽章)
(アンコール)
(料金:S席=4500円)2階C列12番
コメント:
 こちらは気の毒なほど客席はまばらであった。それでも1階席はまあまあ入っている方である。この日はTOKIアンサンブルと重なったというのも不運だったか。でもヴェネツィア室内合奏団、只者ではない。非常に闊達なアンサンブルに魅了された。前半はヴェネツィアのメンバーがそれぞれソロをとって超絶技巧を披露。これに目をみはったがゆえに後半、山形由美の、まったりした演奏におとなしく付き合っているヴェネツィアは魅力が100分の1ぐらいに低下してしまった感がある。そうは言っても山形由美のネームヴァリューは依然として大きい。お互い利用しあっているような関係のコンサートツアーではある。このヴェネツィア室内合奏団、メンバー表がいまひとつはっきりわからないのは、主力メンバー以外はその時々で入れ替わったりするんじゃないか、っていう気もする。この値段にしては拾い物のコンサートだった。紀尾井ホールなら6500円だからねえ。差額でCDを買っちゃいました。(って足出てるよ!)
2006年7月1日(土)(2:00pm開演)(4:20pm終演)
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
会場:横浜みなとみらいホール
指揮・ピアノ:ゾルタン・コチシュ
曲目:
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(ピアノ弾き振り)
(休憩20分)
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」
(アンコール:ブラームス/ハンガリー舞曲)
(アンコール:ベルリオーズ/ラコッツィ行進曲)
(C席6000円)2階LA3列3番
コメント:
 空席の多さにはがっかりしてしまう。このところクラシックコンサートの乱立がたたってか、急速に観客数が減ってきている感じだ。特に東京近郊の都市で東京と同じプログラムというのは厳しいのだろう。
 ハンガリー国立フィルの音楽監督、ゾルタン・コティシュはもちろんピアニストとして実力を認められた人物で、ベートーヴェンの弾き振りは非常に良かった。ベートーヴェンやモーツァルトの協奏曲はもともと弾き振り用に作曲されているものが多く、こうした試みはもっとどんどんやってほしいものだ。一方、「悲愴」の方はちょっとテンポが速すぎて雑な感じ。この曲はある意味思い入れが強すぎて“普通の”演奏では物足りなく感じてしまう。超有名曲というのは演奏する側にとっても試練なのだ。
2006年6月23日(金)(6:30pm開演)(9:20pm終演)
プラハ室内歌劇場日本公演
モーツァルト/歌劇「魔笛」(全2幕・日本語字幕)
会場:新潟県民会館大ホール
指揮:マルティン・マージク(Martin Mazik)
演出:マルティン・オタワ(Martin Otawa)
ザラストロ(バス):ヴァチェスラフ・ポチャプスキー(Viacheslav Pochapskiy)
夜の女王(ソプラノ):ダグマル・ヴァニュカトヴァー(Dagmar Vankatova)
パミーナ:ヤルミラ・バクソヴァー
タミーノ(テノール):アレシュ・ブリスツェイン(Ales Briscein)
パパゲーノ(バリトン):フランティシェク・ザフラドニーチェク(Frantisek Zahradnicek)
パパゲーナ(ソプラノ):マルケータ・ベヒニョヴァー(Marketa Bechynova)
弁者・武士1(バス):イェフヘン・ショカロ(Yevhen Shokalo)
僧侶・武士2(テノール):イゴル・クチェル(Igor Kucer)
侍女1(ソプラノ):アンナ・クラモヴァー(Anna Klamova)
侍女2(メゾ・ソプラノ):ヤナ・ドヴォルジャーコヴァー(Jana Dvorakova)
侍女3(メゾ・ソプラノ):ヴァーツラヴァ・ホウスコヴァー(Vaclava Houskova)
モノスタトス(テノール):ユライ・ノツィアル(Juraj Nociar)
プラハ室内歌劇場管弦楽団、合唱団
(料金:A席9000円)2階15列19番
コメント:
 プラハ室内歌劇場は演奏もしっかりしていたし、歌手も実力が揃っていてなかなか楽しめた。2階の一番後ろの席で聞いたのだけれども十分な声量があった。その割には客の少ないのが寂しい。
 最も、「魔笛」というオペラ自体がわけのわからないストーリーで何度観ても釈然としない。特に第2幕は例の夜の女王のアリアの後はひたすら退屈。それはなにも演出のせいではないのだけれども。
2006年6月11日(日)(2:00pm開演)(4:08pm終演)
新潟交響楽団第78回定期演奏会
会場:新潟県民会館大ホール
指揮:船橋洋介
ピアノ:成嶋志保
曲目:
モーツァルト/歌劇「魔笛」序曲K.620
シューマン/ピアノ協奏曲イ短調 作品54
(アンコール:リスト/「巡礼の年第1年」より「ジュネーブの鐘」)
(休憩15分)
チャイコフスキー/交響曲第4番へ短調作品36
(アンコール:チャイコフスキー/「眠れる森の美女」より「ワルツ」)
(料金:自由席当日1200円)
コメント:  ひさびさに聞く新潟交響楽団。指揮の船橋洋介氏は今年から2年間に渡り潟響を指揮するという。氏は長岡市芸術文化振興財団の音楽アドヴァイザーも勤められていて新潟にはおなじみの指揮者である。まずは魔笛の序曲。金管が音を外しぎみでアンサンブルも合っていない。しかしシューマンのピアノコンチェルトに入ってようやく落ち着きを見せる。ピアノの成嶋志保さんは、潟響副団長のコントラバス、成嶋隆さんの娘さんということだ。成嶋さん、なかなかいい演奏である。現在もパリに在住で、活躍のご様子。アンコールには「ジュネーヴの鐘」で喝采を受ける。  後半はチャイコフスキーの交響曲第4番。ピチカート楽章があったり、変化に富む曲だが、まずまずの出来でしょう。相変わらず金管がちょっとふらついたり、フルートが早いメロディーについていけなかったりもあるが。こうしたアマチュアの演奏会を聞くことは、またプロの演奏とは違った楽しさもあると思う。
2006年6月7日(水)(7:00pm開演)(9:12pm終演)
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー(NDR Radiophilharmonie Hannover)
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:大植英次
曲目:
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」作品68
(休憩20分)
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調「運命」作品67
(アンコール:ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番)
料金:B席会員4500円
コメント:
 最近、新潟に来るオーケストラのプログラムは、今晩のような超有名曲ばかりになってしまっているのは残念。1曲ぐらいはもうちょびっとひねった曲にして欲しい気もするのだが、TV局との共同企画ということもあり、しかたがないのかもしれない。それでも客の入りはまずまずか。東響定期よりはちょっと少ないかどうかといったところ。演奏は悪くない。お国柄か、手を抜かずにしっかりとした演奏だった。ちょっと面白かったのは、トランペットがピストンのない古い形のものを使用していた事。最初はトロンボーンかと見間違えてしまった。
2006年6月4日(日)(2:00pm開演)(4:15pm終演)
第28回「午後のコンサート」どこまでもチャイコフスキー
会場:東京オペラシティ コンサートホール
指揮・お話:大町陽一郎
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
曲目:「オール・チャイコフスキー」
スラヴ行進曲
アンダンテ・カンタービレ(弦楽四重奏曲第1番第2楽章)
イタリア奇想曲
(休憩20分)
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
弦楽セレナードより第3楽章「エレジー」
序曲「1812年」
(アンコール:バレエ組曲「白鳥の湖」より「チャールダーシュ」)
(料金:会員S=4950円)1階20列2番
コメント:
 岩城宏之指揮の予定が、マエストロが先月手術をされてキャンセルとなったため、大町陽一郎氏が代演である。大町氏は基本的に右手だけで指揮をするが、これは師のカール・ベームが、そのまた師であるところのリヒャルト・シュトラウスから「オーケストラは結局右手しか見ない」との教えに基づくのだそうだ。そんなことを話しながらの演奏会である。基本的にチャイコフスキーのポピュラーな曲のプログラムだが、弦楽セレナードでエレジーを弾いてみたり、アンコールは「白鳥の湖」ではあるけれども、チャールダーシュだったりとちょいとひねってあるところが大町流かもしれない。ひさびさのオペラシティだけれども、このホール、やはり音響はいい。そのせいか、最近演奏の低下が言われている東京フィルではあるけれども、いい音だった。まあ、自分の好みの曲が多かったせいもあるかもしれぬが。

2006年6月3日(土)(6:00pm開演)(7:55pm終演)
NHK交響楽団第1571回定期演奏会Aプログラム
会場:NHKホール(東京)
指揮:渡邊一正
ヴァイオリン:ルノー・カプソン(Renaud Capucon)
コンサートマスター:篠崎史紀
曲目:
ハチャトゥリアン/バレエ組曲「ガイーヌ」より
 「剣の舞」「ばらの少女たちの踊り」「こもり歌」「レスギンガ」
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
(アンコール:グルック/メロディー)
(休憩15分)
ラフマニノフ/交響的舞曲 作品45
(料金:E席自由1500円)
コメント:
 今年すでにN響を聞くのは4回目。土日の公演が増えて地方の人間にとっても聞きやすくなったのも幸いしている。今日は指揮者が日本人の若手というせいか客の入りは少なめ。メインのラフマニノフ交響的舞曲は甘美な旋律こそないものの、ラフマニノフにとっては渾身の白鳥の歌である。あまり演奏されない曲だけに、指揮者の思いの伝わる演奏だった。だが、僕の今日のお目当ては前座の「ガイーヌ」である。できればもう2、3曲聞きたかったなあ。メンデルスゾーンのカプコンは30歳の若手。ちょっと特長出しづらい曲だったかもしれない。
2006年5月28日(日)(5:00pm開演)(7:38pm終演)
東京交響楽団 第36回新潟定期演奏会
「ショスタコーヴィチ生誕100年」
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:ドミトリー・キタエンコ(Domitrij Kitajenko)
ヴァイオリン:川久保賜紀
コンサートマスター:大谷康子
ゲスト首席チェロ奏者:ピーター・バラン(Peter Baran)(スロヴァキア・フィル首席)
曲目:
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調作品77
(休憩20分)
ショスタコーヴィチ/交響曲第7番 ハ長調作品60「レニングラード」
コメント:
 キタエンコさんの指揮は97年にN響で聞いて以来だと思う。今回オーケストラ・アンサンブル金沢の首席客演指揮者に就任ということで来日、ついでに(というわけじゃないだろうけど)東響定期に登場。しかもヴァイオリン協奏曲1番と「レニングラード」という長大なプログラム。ソリストはチャイコフスキーコンクール最高位の川久保賜紀。ショスタコーヴィチは長いことを除けば、そんなに前衛的でもないし、美しい旋律もあり、聞きやすい。協奏曲の聞かせどころは何と言っても第4楽章冒頭のカデンツァ。難しいところだけれども気負わずいい演奏と思う。2年前に都響でチャイコフスキーを演奏するのを聞いたけれども、その時よりも良かったように感じた。
 「レニングラード」は弦が16型で66人。木管が13人、金管21人、打楽器7、ハープ2、ピアノ1で総勢110人の大編成である。どうしてこれだけ必要なんだろう。ひとりでも戦地に送られる音楽家を減らそうという作曲者の目論見だったのだろうか。とにかく第1楽章だけでも長大である。ドイツ軍に包囲されたレニングラードでの演奏会の逸話など共産政権からの弾圧やら連合国側の戦意高揚やらとかく政治的に利用された作品だが、そうした装飾を施さずとも、人の心を打つ美しさに満ちた曲だと思うのだ。
2006年5月13日(土)(5:00pm開演)(7:10pm終演)
アンダルシア 灼熱のオルガン〜アンドレス・セア・ガラン オルガンリサイタル
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
曲目:
ホセ・ヒメネス/第6旋法のバターリャ
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ/2声の上声部による分割鍵盤のティエント
                 /2声の下声部による分割鍵盤のディスクルソ
                 /第1旋法のティエント
パブロ・ブルーナ/第2旋法の平易なティエント
        /ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ
        /聖母のための連祷によるティエント
(休憩20分) ドメニコ・スカルラッティ/ソナタ K.177、K.213、K.92、K.87、K.342
ファン・セセ/ホ長調のインテント
ホセ・リドン/アレグロ
      /エレヴァシオン
      /ニ長調のインテント
(アンコール:2曲)
(料金:B席会員=1800円)
コメント:
 りゅーとぴあのスペイン製オルガンにちなんで、スペインの名手によるスペイン曲のコンサート。さすがにすばらしい演奏。ただ、いつものごとく会場が真っ暗になってしまう上、曲目が次々と続けて演奏されるため、いま弾いている曲がどれなのかわからずにいつの間にか演奏が終わってしまった、という状態だった。曲名紹介などがあるともっと楽しめると思うが。馴染みの無い曲目ということもあって客席は500人くらいとかなり寂しい。料金は格安なのに、新潟のひとは、オルガンはタダで聞くものと思っているのだろうか。
2006年4月30日(日)(3:00pm開演)(5:05pm終演)
NHK交響楽団第1568回定期演奏会Aプログラム
会場:NHKホール(東京)
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanislaw Skrowazewski)
コンサートマスター:堀正文
曲目:
シューベルト/交響曲第7番 ロ短調D.759「未完成」
モーツァルト/交響曲第39番 変ホ長調K.543
(休憩15分)
モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調K.551「ジュピター」
(料金:E席自由1500円)
 今回、上京して時間があったのでNHKホールに向かう。“ミスターS”ことスクロヴァチェフスキの未完成とモーツァルトの交響曲3題である。本来なら最初の曲は序曲などが適当なのだろうけれども、全体的に軽すぎると考えてかシューベルトを持ってきたけれどもどうせならモーツァルトの3大交響曲を連続してやったらよかったのに。ともあれ、最も良かったのは39番。やはりこの作品は名曲である。タイトルがついていることから41番の方が圧倒的に演奏される機会は多いのかもしれないけれどもこの曲は冒頭からはっとさせられる不協和音や陰影に満ちた展開が印象的である。休憩後のジュピターはちょっとアンサンブルに乱れを感じた部分もあったのでやはりこの39番の演奏がこの日はもっとも良かったと思う。
2006年4月9日(日)(4:00pm開演)(6:00pm終演)
茂木大輔のオーケストラ・コンサートVol.2
ベートーヴェンの「運命」を100倍楽しもう!!
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮・お話:茂木大輔
オーケストラ:人間的楽器楽管弦楽団
コンサートマスター:江口有香
曲目:
ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」
(アンコール:ベートーヴェン/交響曲第8番第二楽章)
(料金:S席会員=3600円)
コメント:
いつもながら、茂木さんのコンサートは楽しい。以前このコンサートを聞いているんだけどすっかり忘れていたので新鮮な気持ちで聞けた。客席も前回にくらべるとだいぶ入りが良かったようで、さすが「運命」は人気が高い。三鷹のオーケストラをりゅーとぴあで聞くのはまた趣が変わって良い。このオーケストラの実力を再認識した。
2006年3月5日(日)(3:00pm開演)(5:50pm終演)
茂木大輔隊長と名曲の森探検隊 第9回「イタリアの青い海と太陽」
会場:三鷹氏芸術文化センター・風のホール
音楽監督・解説・指揮:茂木大輔
オーポエ:池田昭子
ハープ:内田奈織
テノール:森田有生
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル「風」
コンサート・ミストレス:佐イ分利恭子
お話:池辺晋一郎
曲目:
茂木大輔編/「新古典主義によるイタリア風4つの音楽」
 (ストラヴィンスキー/プルチネラ、レスピーギ/オルランド伯爵のバレエ、オーボエとハープのためのヴァラネッル、イタリアーナ)
ドニゼッティ(アルベルト・ツァベル編)/歌劇「ランメルモールのルチア」第1幕第2場から「噴水の場」
 (ハープ:内田奈織)
カッチーニ/アヴェ・マリア(テノール:森田有生、ハープ:内田奈織)
ポンキエッリ(港大輔編)/オーボエ、ハープ、管弦楽のためのカプリチオ(オーボエ:森田有生、ハープ:内田奈織)
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
(休憩15分)
ロッシーニ特集
 「絹のはしご」序曲
 木管四重奏曲 ト長調より第1楽章(フルート:岩佐和弘、クラリネット:山根孝司、ファゴット:藤田旬、ホルン:小川正毅)
 チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調(チェロ:山内俊輔、コントラバス:吉田秀)
 「スターバト・マーテル」より第2曲「悲しみに沈む聖母の心を剣が貫いた」
 「チェレネントラ」序曲
(アンコール:ロッシーニ/ウィリアムテル序曲より)
(アンコール:プッチーニ/オペラ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」)
(アンコール:ヴェルディ/オペラ「椿姫」より「乾杯の歌」)
(料金:会員2700円)
コメント:
 前日のレクチャーで十分言い尽くしたためか、前半はおしゃべりもなく、演奏中心で進行。後半の池辺先生の話はほとんどが与太話でちょっとがっかり。チェロとコントラバスだけであれほど音の豊かな世界を作ってしまう、ロッシーニは只者ではない。アンコールに今話題のトゥーランドットも登場。テノールの森田有夫さんが2階バルコニーから声も高らかに登場する演出は心憎い。最後はオーボエのヴィオレッタと森田さんのアルフレートで乾杯の歌で締めくくり。
2006年3月4日(土)(7:00pm開演)(9:50pm終演)
茂木大輔隊長と名曲の森探検隊 プレ・トーク
「イタリアの青い海と太陽」
会場:三鷹氏芸術文化センター・風のホール(ステージ上)
講師:茂木大輔
ピアノ:杉尾陽子*
ハープ:内田奈織+
曲目:
ロッシーニ/老いのいたずら第4巻「4つのデザートと4つのオードブル」より*
 乾燥いちじく(こんにちはマダム)、アーモンド(夜12時の鐘が鳴る、こんばんわマダム)、乾燥レーズン(私のかわいいオウムちゃん)
プッチーニ/ジャンニ・スキッキより「私のお父さん」+
黛敏郎/「ROKUDAN」+
フィリップ・サルド/「ひきしお」+
(料金:会員800円)
 今回はロッシーニを中心にイタリア音楽についてのレクチャー。18世紀までは音楽の中心と言えばイタリアであって、いかにモーツァルトベートーヴェンが素晴らしい曲を書いても、それは所詮亜流の扱いでしかなかった。そのイタリアで圧倒的な人気作家となって、おそらく音楽だけで食えた最初の作曲家がロッシーニであると言える。だが、30曲以上作曲して大ヒットしたオペラのうち、現在も上演されているのはわずかに「セヴィリアの理髪師」、そしてせいぜい「チェレネントラ」くらいしかない。晩年のあんなに有名な序曲を持つ「ウイリアム・テル」でさえもはや1曲のアリアさえ聴かれることが無い。
 ロッシーニのオペラのほとんどは「ブッファ」と言われる、笑いの多いものであった。それは全世界を制覇し、席巻し、巨額の富をもたらし、そして二度と振り返られることが無かった。笑いが癒す浮世の苦労、そして使い捨てに現れては消える現代のお笑いタレントにだぶってくる。
 おそらく、そうした笑いに、最初に飽き飽きしたのが、ほかならぬロッシーニ自信ではないだろうか。彼は37歳にしてオペラの作曲を辞め、美食に明け暮れながら宗教音楽やサロン用のピアノ曲などを作曲した。今回はそのピアノ曲が演奏された。演奏に当って杉尾陽子さんは「お金を取って人前で演奏することが憚られる」ような作品と評した。これらの作品はパリのサロンでロッシーニが招いた10人ほどの聴衆に聞かせるために作曲されたもので、「4つのデザート(乾燥果物)」にそれぞれ<こんにちはマダム>などと書いてある。パリのサロンの諧謔的言い回しが多分に含まれていて、ストレートには解釈できない。この作品の乾燥果物の原語「マンディアン」には物乞い、托鉢などの意味があって修道女をも指していて、年増女性を乾燥果物にたとえているなど一筋縄ではいかないのである。また、楽譜にはppppからffffまで強弱記号が書かれており、「全員で」などという指示もあったりしてとてもピアノ楽譜とは思えないとも。あくまでロッシーニはオーケストラ譜を書いていたつもりだったのかもしれない。明日のコンサートで演奏される、ポンキエッリのカプリチオもピアノ譜しか残っていないが、茂木さんによれば明らかに管弦楽曲としての音型が見て取れるという。そうしたことをひとつひとつ解き明かしていくことがクラシックの楽しみ方のひとつと思う。また、このピアノ曲にはときどき、ミスタッチとおもいきや、実は楽譜どおりという部分もいくつか見られるという。楽譜どおりに弾いても、ミスタッチと思われるような曲は、演奏する側も嫌だろうなあ。
 後半はハーピスト内田奈織さんによるハープの解説と演奏。ペダリングのことやハーモニックスのことなど。(僕自身は何度か早川りさこさんのリサイタルなどで聞いているけれども)内田さん、最近売り出し中の気鋭のハーピスト。CDの宣伝チラシの写真よりもずっとほっそりしている。質疑応答している間に時間も絶対閉館時間の夜10時が迫ってしまった。
2006年3月4日(土)(3:00pm開演)(4:55pm終演)
NHK交響楽団第1563回定期演奏会Cプログラム
会場:NHKホール(東京)
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ(Vladimir Ashikenazy)
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:篠崎史紀
曲目:
チャイコフスキー/交響曲第1番 ト短調作品13「冬の日の幻想」
(休憩15分)
チャイコフスキー/交響曲第6番 ロ短調作品74「悲愴」
(料金=E席自由1500円)
コメント:
 音楽監督、アシュケナージ指揮によるチャイコフスキーの最初と最後の交響曲の演奏会である。1番の交響曲はその作曲家のあらゆるもののエッセンスが入っているとも言われるが、この曲も後期の作品を連想させる流麗な旋律や管楽器の響きを感じるが、全体としてのまとまりには欠け、唐突な展開にとまどう。アシュケナージの指揮も、この曲をさらに魅力的に見せているとは言いがたい。
 後半の「悲愴」も、ややまとまりに欠ける演奏。ひとつひとつの部分を強調するあまりに全体の流れは悪くなってしまう。やはり自分としては98年にハンス・ドレヴァンツ指揮で聴いた「悲愴」が最高の名演であったなあ、と思い至るのであった。
2006年2月26日(日)(5:00pm開演)(7:05pm)
東京交響楽団第34回新潟定期演奏会
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:ユベール・スダーン(Hubert Spudant)
ヴァイオリン:イリア・グリンゴルツ(Ilya Gringolts)
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
曲目:
モーツァルト/交響曲第29番 イ長調K.201
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調K.219「トルコ風」
(休憩20分)
モーツァルト/交響曲第39番 変ホ長調K.543
(アンコール:モーツァルト/歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲)
(料金:B席定期会員=3200円)
コメント:
 ソリストは若干24歳の新鋭、グリンゴルツ。独特の雰囲気を持っているが、オーケストラの雰囲気とはちょっとそぐわない感じである。ゆったりとsたソロの部分とテンポのあるオーケストラの部分が微妙にずれてしまっている。ソリストのアンコールはなし。
 さて、ザルツブルク・モーツァルティウム首席指揮者であったスダーンのこと、みごとなモーツァルトの演奏であった。今日は客席の入りもまずまず。こういうすばらしい演奏が新潟で聞けることにただただ感謝するのみである。
2006年2月12日(日)(3:00pm開演)(6:00pm終演)
茂木大輔隊長と名曲の森探検隊
第8回「フィガロハウスのハイドンと二人のモーツァルト」
会場:三鷹氏芸術文化センター・風のホール
指揮:茂木大輔
ソプラノ:山田英津子
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル「風」(ハイドンの13人楽団ヴァージョン)
(ヴァイオリン1:江口有香/中村未穂、ヴァイオリン2:山本はづき/長崎真音、ヴィオラ:馬渕昌子、チェロ:丸山泰雄/重松恵子、コントラバス:赤池光治、フルート:岩佐和弘、オーボエ:和久井仁/最上峰行、ファゴット:藤田旬、ホルン:小川正毅/松浦光男)
コンサートミストレス:江口有香
ナチュラルトランペット:中村孝志
パーカッション:伊佐郷平/飯田祐子(みたかジュニアオーケストラ)
児童合唱:リコ・ミュージックアカデミー(指導:佐々木理子)
曲目:
レオポルト・モーツァルト/トランペット協奏曲ニ長調より 第2楽章
レオポルト・モーツァルト/新ランバッハー交響曲 ト長調
モーツァルト:「後宮からの逃走」より コンスタツェのアリア「いかなる責め苦にも」
モーツァルト/弦楽四重奏曲第15番 ニ短調K.451より「メヌエットとトリオ」
モーツァルト/弦楽四重奏曲第17番 変ロ長調K.458より第1楽章
モーツァルト/「フィガロの結婚」より伯爵夫人のアリア「あの美しき思いではどこへ」
(休憩15分)
レオポルト・モーツァルト/カッサシオント長調「おもちゃの交響曲」(全曲版)
モーツァルト/「ミサ ハ短調」K.477より「et Incarnatus est」
ハイドン/交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」
(アンコール:レオポルド・モーツァルト/そりすべり)
(料金:会員2700円)
 前日の大崎先生の公演と合わせて、実際にモーツァルトの音楽、レオポルトの音楽、そしてハイドンが自らの葬儀の際に演奏して欲しいとした44番の交響曲を聞く。レオポルトのトランペット協奏曲。それはまさにモーツァルトの音楽であった。こういう曲がコンサートで演奏されることはほとんど無いであろう。しかし、今ではおびただしいCDが世界中に向けて発売されており、こうした曲もまた、どこかで録音されているのである。
 モーツァルトの作品としては、弦楽四重奏とオペラのアリアが2曲。これを歌った山田さんも素晴らしい声量の持ち主である。しばし堪能させていただいた。今日の「風」のメンバーは、ハイドンの13人編成の楽団ということで選りすぐりのメンバー。おもちゃの交響曲は「全曲版」と謳っているとおり、茂木さんがこちらが真正と信じていたのだが、実際にはもともとあったシンフォニーをレオポルトが7楽章の「カッサシオン」として再編成した曲であることが明らかになった。ある意味、レオポルトという人の才能の一旦を示しており、やはり天才というものが忽然と表れるものではない、ある完成された熟練の伝統の集大成として天才は存在するということを感じるのである。
 そして今回のコンサート、多分茂木さんが最も演奏したかったのがハイドンだろう。出来ればハイドンの全曲演奏会をしたいだろうけれども、それでは客が入らないので、モーツァルトに引っ掛けた構成をとらざるを得ない。まさにこのコンサート企画自体が音楽学と商業主義とのせめぎあいを象徴しているようではないか。
2006年2月11日(土)(7:00pm開演)(9:20pm終演)
茂木大輔隊長と名曲の森探検隊 プレ・トーク
レオポルト・モーツァルトと音楽学−−大作曲家を顕彰するパラダイムとしての/モーツァルト生誕250周年記念に寄せて
会場:三鷹氏芸術文化センター・風のホール(ステージ上)
講師:大崎滋生(桐朋学園大学教授・音楽史家)
(料金:会員800円)
 茂木さんの「名曲の森探検隊」についての講演会。音楽史家大崎先生の講義を格安で聴けるという幸せな時間を堪能。テーマはモーツァルト生誕250周年に寄せて大作曲家と同時代の作曲家はどう違うのか、という点についての検証である。
 まずはフィガロ・ハウスと呼ばれたウィーン中心部の住居について。その前の住居の家賃は半年で63フローリンだったのに対し、ここは230フローリン。実に4倍近い。当時のモーツァルト家が相当の高収入であったことの証である。1785.2.11(奇しくも今回の講義と同じ日)にレオポルトがこのフィガロ・ハウスに到着。翌12日、当時の大作曲家であるヨーゼフ・ハイドンがここを訪れ、いわゆる「ハイドンセット」のうちの3曲(K.387、421、428)が演奏され、ハイドンがかの有名な言葉を吐く。「私の直接間接に知っている限り、あなたの息子さんは最も偉大な作曲家です。」と。モーツァルト父子にとって生涯最良の日であったろう。今回の演奏会がまさにこの日に行われるのは、茂木さんによると「スケジュールがたまたま空いていた、全くの偶然」なのだそうだ。レオポルトの手紙にはウィーン滞在中のコンサートの記録が詳細に記されており、毎日のように演奏会が催され、収入も1回のコンサートで500から1000フローリンに上っていたことがわかる。4.25、レオポルトがウィーンを立つにあたり、それを見送った息子夫妻と食事をしたのが父子の最後の別れとなった。
 ところで、モーツァルトはなぜ天才と呼ばれるのか。本当に天才だったのか、ということも問題になる。実はモーツァルトと同じような作品は当時の多くの作曲家が作っていた。生涯600曲もの作品を書いたということも、当時の作曲家なら当然数百から1000以上の作品を書いている。レオポルトの作品も単に「モーツァルト」と書いてあれば父子のいずれの作品か区別がつかず、アマデウス・モーツァルトの作品と見なされやすい。モーツァルトの作品も初期のイタリア旅行時に作曲されたオラトリオ「救われたベトゥーリア」についても、教会から依頼されて短期間で作曲しなければならなかったことなどから考え合わせると、相当の程度でレオポルトの関与も考えられると見なければならない。
   象徴的な事件として「ランバッハ交響曲」の問題について検証。ランバッハ修道院で発見されたモーツァルト初期のト長調シンフォニー(旧ランバッハ交響曲K.Anh221)について、その後レオポルトの名で伝わる別のト長調シンフォニー発見(新ランバッハ交響曲)。これについて1965年、アンナ・アーベルトが二つの作品は「新」の方がよりモーツァルト的な様式で書かれており、コピーストが二つの作品を取り違えたとする説を発表した。しかし、1980年にバイエルン国立図書館が買い入れた資料の中に、K.Anh221の真正なパート譜があり、レオポルトの筆跡でアマデウス作品であることが明記されており、旧が真正作品であることが証明された。
 このことは、天才モーツァルトは経験乏しくとも創意に溢れた作品を書く。凡才アマデウスは経験豊かでも古風で凡庸な作品を書くという前提がアーベルトにあったことからの間違いであり、ロンドンからの帰途、イタリア様式のシンフォニーを10歳のモーツァルトが書いたというまっとうな位置付けであり、本来的には練達の大人と未熟な子供の音楽の違いであった。
 おもちゃのシンフォニーの作者の問題についての検証。この曲は1786年、イギリスでヨーゼフ・ハイドン作曲として刊行され、以後ハイドン作曲とされていたが、1951年、エルンスト・シュミットの論文でレオポルトの作品と結論づけられた。その後さまざまな作者による筆者譜の発見が続き、1988年のハイドン研究所のゲルラッハ博士の報告では、レオポルトの7楽章稿はオリジナル稿ではない。(既存の音楽にレオポルトが編曲したものか)、真正に近い資料ほどミヒャエル・ハイドンの可能性高い、ミヒャエルからヨーゼフ・ハイドン作曲へと伝承がすりかわっていった。として、レオポルトを作曲者とする根拠はない。ミヒャエルとしても資料は不十分だが反証もなく、ミヒャエル・ハイドンの可能性はあると結論づけている。
 こうした真正の作曲者の問題はすでに20年近く前に結論が出ているにもかかわらず、おもちゃのシンフォニーがレオポルト作曲という世間の認識は未だに高い。現に茂木さんもこの講義まではそう信じていたという。ではなぜ訂正されないのか。それについては茂木さんが「これがミヒャエル・ハイドン作曲ということになるのは非常にやばい。もともとハイドン作曲がモーツァルトのお父さんの作曲ということで演奏されていた。それがたとえば、アンゲラー作曲となれば演奏しても誰も来なくなる」ということである。
 最後に大崎先生がモーツァルト生誕250周年がオーストリアの国家プロジェクトとなっていることに言及。今やクラシック音楽も文化資源として外国からの観光客誘致という国家の文化政策上の問題となっている。モーツァルトはヨーロッパ統合の象徴であり、(パリ、ロンドン、ベルリン、プラハ、イタリア)観光業者・音楽産業・音楽学がタイアップしている。
 たとえば、ハイドンの音楽がいかに素晴らしいと言っても地方のオーケストラが年に3回以上取り上げるということは不可能に近い。そういう商業主義と密接に結びついている音楽学の存在ということが今回の隠れたテーマであった。

2006年1月29日(日)(2:00pm開演)(5:15pm終演)
モーツァルト/歌劇「魔笛」(全2幕、ドイツ語上演字幕つき)
会場:新国立劇場(東京)
ザラストロ:アルフレッド・ライター
タミーノ:ライナー・トロースト
夜の女王:佐藤美枝子
パミーナ:砂川涼子
パパゲーノ:アントン・シャリンガー
パパゲーナ:諸井サチヨ
弁者:長谷川顯
僧侶:加茂下稔
侍女:田中三佐代/加納悦子/渡辺敦子
童子:直野容子/金子寿英/背戸裕子
モノスタトス:高橋淳
武士:成田勝美/大澤建
指揮:服部譲二
演出:ミヒャエル・ハンベ
美術・衣装:ヘニング・フォン・ギールケ
合唱:新国立劇場合唱団
合唱指揮:三澤洋史
管弦楽:東京交響楽団
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
(料金:S席13650円)2階5列8番
コメント:
 モーツァルト生誕250周年を記念して、新国立劇場の「魔笛」を見に行く。さすがにこの劇場は音響がすばらしい。演奏は新潟でおなじみの東京交響楽団なので、安心である。といいつつ、この日は知り合いの買い物を手伝ったり、開演時間を勘違いしていたりして劇場についたのが開演ぎりぎりだったりとあって、1幕目はうとうとしてしまった。(いつものことだったりして)どうにか2幕目からは目を開いていられた。夜の女王は新国立ではおなじみとなった佐藤美枝子。まあこの人の声質は夜の女王タイプじゃない気がする。コロラトゥーラの部分はちょっと苦しい。でもその後の地声の部分は結構迫力あります。出演者の中ではパミーナの歌が良かったと思う。まあオペラを聞くのならせめてこれくらいのレベルの出演者と舞台は欲しいものだなあ、などと思うのであった。
2006年1月28日(土)(6:00pm開演)(7:55pm終演)
NHK交響楽団第1559回定期演奏会Aプログラム
会場:NHKホール(東京)
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Blomstedt)
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ(Christian Tetzlaff)
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:ペーター・ミリング(客員)(Peter Mirring)
曲目:
(開演前の室内楽:モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423 ヴァイオリン:松田拓之、ヴィオラ:坂口弦太郎)
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品77
(アンコール:)
(休憩15分)
ブラームス/交響曲第1番 ハ短調作品68
(料金:E席自由=1500円)
コメント:
久しぶりのN響定期はブラームスナイト。来週のCプロがモーツァルトプロなので、モーツァルト生誕250周年を記念したら逆のほうがよかったのにね。ところで今日のコンサートマスターはゲストにペーター・ミリング氏(ドレスデン国立歌劇場)が座っている。しかし第1ヴァイオリンの正面に陣取った第2ヴァイオリンの首席には山口裕之氏が座り、「影のコンマス」として君臨していた。彼が実際のコンマスであったことは、演奏終了後にマエストロ・ブロムシュテットが真っ先に山口氏と握手を交わしたことでも示されていたと思う。
 さて演奏の方だが、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、私は第1、2楽章はしっかり寝てしまった。どうもこの協奏曲をCDで聴いても、この部分は寝てしまう。ようやく第3楽章になって目が覚めるという始末である。一方、交響曲1番は眠ることもなく堪能させていただいた。ゲストコンマスを立てつつもしっかりとオーケストラをリードしていた山口氏の手腕も堪能いたしました。
2006年1月12日(火)(6:30pm開演)(9:40pm終演)
プラハ国立劇場オペラ
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」
会場:新潟県民会館大ホール
指揮:ペテル・フェラネツ
演出:ヨゼフ・プルーデク
フィガロ:イジー・スルジェンコ
アルマヴィーヴァ伯爵:ロマン・ヤナール
伯爵夫人:イヴェタ・イジーコヴァー
スザンナ:マルティナ・ザドロ
ケルビーノ:カロリーナ・ヴェルコヴァー
マルチェッリーナ:イヴォナ・シュクヴァルヴァー
バルトロ:イジー・カレンドフスキー
バジーリオ:ヤスラフ・ブジェジナ
ドン・クルツィオ:ヴァーツラフ・レンベルク
アントーニオ:アレシュ・ヘンドジフ
バルバリーナ:アルジェビエタ:ポラーチコヴァー
プラハ国立歌劇場管弦楽団/合唱団/バレエ団
料金:B席=5000円
コメント:
 新潟県民会館は、オペラを聴くにはあまりにもひどい環境である。聴けるだけまし、という人もあるかもしれないが、やっぱりこんなホールでは演奏する側もモチベーションは下がるのではないだろうか。プラハ国立劇場は以前プラハを訪れたときにスタヴォフスケー劇場を外から眺めたということもあって、公演を楽しみにしていたのだ。地方公演ということもあって舞台装置も簡素。管弦楽もあまりにも薄い。ただ、歌手はそれぞれ声量もあり、実力はある。ただその実力を十分に発揮できる環境でないのが残念だった。

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