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2001年クラシックコンサートベスト



<新潟←→東京>Tomoが聴いたベスト・コンサート&ワースト・コンサート

総評:
 2001年は特にこれが、というコンサートはあまり無かったというのが正直な印象。特に新しい才能を発見して興奮する、という場面がなかったせいでもある。N響や東響の定期も私の聴いた中では特に凄い、という感激もなかったので選からは洩れてしまった。サイトウ・キネンのように完成された美しさとジュニアオケや新大オケの未完成でも溌剌とした演奏。どちらも素晴らしいが、サイトウ・キネンは別格として、本来素晴らしい演奏を聞かせてくれるであろうはずのプロの演奏に慣れが出てきてしまったのか、物足りなさを感じてしまう。それだけ自分が贅沢になってしまったのか。考えさせられてしまう。
 そして、2001年の演奏会があまり印象が良くなかったというのは、あらゆる場面でマナーの悪い聴衆に出会ってしまったということもある。どんな素晴らしい演奏も聴衆の不躾な態度で一気に最悪のものとなってしまう。特に演奏に興味の無い子どもを連れてくる客についてはもう怒りを通り越して悲しくなってしまう。2002年はそういうことがありませんようにと、ただひたすら祈るばかりである。
【第1位】
2001年5月19日(土)
ウィーン弦楽ゾリステン with 茂木大輔
会場:かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
オーボエ:茂木大輔、チェンバロ:茂木裕子、管弦楽:ウィーン弦楽ゾリステン
曲目:
J.S.バッハ/オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調BWV.1060R
J.S.バッハ/組曲第5番 ト短調BWV.1070より「序曲」
J.S.バッハ/オーボエ・ダモーレ協奏曲 イ長調BWV.1055
ほか

このコンサートでは、とにかくウィーン弦楽ゾリステンの演奏の見事さに酔いしれた。特に弱音の美しさにはため息が出るほど。もちろん、茂木さんのオーボエも素晴らしかった。

【第2位】
2001年8月25日(土)
2001ジュニアオーケストラ・フェスティバルin NIIGATA
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
出演:
○岡山市ジュニアオーケストラ
○北九州市ジュニアオーケストラ
○ジュニアオーケストラ浜松
○新潟市ジュニアオーケストラ教室

これは技術的評価では、もちろんない。しかし、全国的に見て新潟のジュニアオケの実力がかなり高いものであるということを知るよい機会であった。小中学生による見事な演奏は音楽の原点をみる思いがして気持ちの良いコンサートだった。

【第3位】
2001年9月10日(月)
サイトウ・キネン・フェスティバル松本2001
会場:長野県松本文化会館
指揮:小澤征爾
管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ
曲目:
(追悼演奏:J.S.バッハ/G線上のアリア)
ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲第1番 ハ長調作品138
ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調作品60
ベートーヴェン/交響曲第8番 ヘ長調作品93

え、サイトウ・キネンがジュニアオケの下?とクレームが出そうだけど。独断と偏見でこの順位です。まあとにかく2001年はサイトウ・キネンを聞けたというのが私の一大成果であったことは確か。このオーケストラ、日本最高のオーケストラであることは間違いない。完璧な演奏である。凄い。でもなんとなく完璧すぎて面白味がないという贅沢な悩みもちょびっと。観客は各界の名士が揃い、ちょっとスノビッシュな感じで労働者階級の自分は場違いな感じ。台風で天皇皇后両陛下の臨席が中止になったけど、もしそうでなかったら凄い警備だったんだろうねえ。

【第4位】
2001年10月8日(月祝)
ルビツァ・ヴァルギツォヴァ イタリア音楽紀行オペラアリアと歌曲の夕べ
会場:パルテノン多摩大ホール
ソプラノ:ルビツァ・ヴァルギツォヴァ、ピアノ:ヤン・サレイ
曲目:
ベッリーニ/「夢遊病の女」第1幕よりアミーナのアリア”気も晴れ晴れと・・・”
プッチーニ/「つばめ」第1幕よりマグダのアリア”ドレッタのすばらしい夢”
ドニゼッティ/「ランメルモールのルチア」第1幕よりルチアのアリア”静けさの中で・・・”
ヴェルディ/「リゴレット」第1幕よりジルダのアリア”愛しい人の名は・・・”
ヴェルディ/「椿姫」第3幕よりヴィオレッタのアリア”さようなら過ぎ去った日よ・・・”
アルディーティ/口づけ
(アンコール:ジャンニ・スキッキ/私のお父さん)
(アンコール:マイヤベーア/Les Hugenotes)

麗しのルビツァのリサイタルに行けたのも2001年の収穫。圧倒的な声量はもうそれだけで天にも昇る心地である。ルビツァはオペラでも来日していただけに、聞けなかったのは残念。

【第5位】
2001年2月11日(日祝)
マルセル・ケンツビッチと仲間たちの大音楽会
会場:三鷹市芸術文化センター・風のホール
トランペット:津堅直弘、ヴァイオリン:清水大貴/双紙正哉、ヴィオラ:柳瀬省太、チェロ:藤森亮一、コントラバス:吉田秀、ピアノ:白石光隆、司会:三澤慶
曲目: シューバルト/ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」
サン・サーンス/トランペット七重奏曲 変ホ長調
マルセル・ケンツビッチ/七重奏曲「鮭(シャケ)」(初演)
(アンコール:マルセル・ケンツビッチ/セイロガンの主題による4つの変奏曲(七重奏版))

三鷹のホールの企画はいつもながら楽しい。ちょっとおちゃらけつつも面白まじめなコンサート。アフターパーティで吉田秀さんとお話できたのも楽しかった。

【第6位】
2002年12月14日(金)
りゅーとぴあ クリスマス・オルガンコンサート
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
出演:
オルガン:松居直美、指揮:松原千振、合唱:東京混声合唱団
曲目:
クレランボー(1676-1749)/第2旋法による組曲(オルガン・男声合唱)
パルムグレン(1878-1951)/ホサンナ(男声合唱)
スヴェーリンク(1562-1621)/オルガン・コラール「いと高きところには神にのみ栄光あれ」(オルガン)
J.S.バッハ(1685-1750)/オルガン・コラール「いと高きところには神にのみ栄光あれ」BWV.676(オルガン)
コダーイ(1882-1967)/来れ、来れ、インマヌエル(混声合唱)
プレトリウス(1571-1621)/汝らひとり子をほめたたえよ、ヨセフよ愛するわが子を、甘き喜びのうちに、エサイの根より(混声合唱)
ブリテン(1913-1976)/子守唄(女声合唱)
フランク(1822-1890)/交響的大曲 作品17(オルガン)

全然期待していなくてふらっと入ったコンサートが素晴らしいものだった、というのは正にうれしい誤算である。このコンサートはとにかく鍛えられた人間の声の美しさを改めて認識したコンサートだった。声楽はちょっと、というひとはぜひこうした優れた合唱を、生で楽しんで欲しい。これはどんなに音響技術が進もうとも、録音ではその魅力は半分も伝わらないからである。

【第7位】
2001年10月13日(土)
2001JYACMS−WEEK in 新潟〜後期ロマン主義の光と影〜
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
ヴァイオリン:漆原啓子/景山誠治、ヴァイオリン、ヴィオラ:深山尚久、ヴィオラ:川本嘉子、チェロ:上村昇/田中雅弘、ピアノ:迫昭嘉
曲目:
マーラー/ピアノ四重奏曲「断章」イ短調
ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲第4番ホ短調作品90「ドゥムキー」
チャイコフスキー/弦楽六重奏曲ニ短調作品70「フィレンツェの思い出」
(アンコール:ドヴォルザーク/スラヴ舞曲10、8、7番より)

毎年恒例のJYACMSも2001年が最後となった。さすがに名手ぞろいだけに素晴らしい演奏である。室内楽は眠くなることが多いのだけれどもこうした素晴らしい演奏だとちっとも眠くならないから不思議だ。また何かの機会で新潟に来て欲しい。

【第8位】

2001年7月28日(土)
フィルハーモニア管弦楽団
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:ウラディーミル・アシュケナージ、ヴァイオリン:庄司紗矢香
曲目:
ベルリオーズ/オペラ「ベアトリスとベネディクト」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調作品64
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番 ニ短調作品47
(アンコール:シューベルト(ウッドハウス編)/楽興の時第3番)

贅沢なプログラムが新潟で実現。特にショスタコーヴィチには深い感銘を受けた。田中外相が選挙応援をすっぽかして聴きにきたことから騒動になったコンサートとして全国に報道されてしまった。

【第9位】
2001年5月12日(土)
ローマ・サンタチェチーリア国立アカデミー管弦楽団
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール

指揮:チョン・ミョンフン、ヴァイオリン:チョン・キョンファ
曲目:
ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番 ニ短調作品47
(アンコール:ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲)

期せずして、2001年の新潟は同じショスタコーヴィチの5番でアシュケナージとチョンが対決。同じ曲ながらそれぞれの指揮者の考えが色濃く出て興味深い演奏会であった。こちらの演奏会は姉弟共演という話題もあったが、チョン・キョンファのヴァイオリンの音が小さいのと、指揮者二人状態でオーケストラも混乱、ちょっと期待はずれとなってしまった。 【第10位】
2001年12月9日(日)
新潟大学管弦楽団第38回定期演奏会
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:河地良智、ピアノ:青柳晋
曲目:
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
ラフマニノフ/交響曲第2番 ホ短調作品27
新大オケラは多分新潟では最も上手いアマチュアオケだと思う。全国的に見てもかなりレベルは高いだろう。少なくとも新潟交響楽団よりは上手い。新潟の音楽家の底辺の広がりを見る思いである。

【第10位】
2002年12月24日(月休)
第20回記念新潟商業高校吹奏楽部定期演奏会
会場:新潟県民会館大ホール

10位にもう一つ追加。「歌って踊れる吹奏楽団」を目指す新潟商業の定期演奏会はとにかく楽しさ満載、そして今しか出来ない青春の1ページを思い起こさせてくれる貴重なコンサートである。最初は1位にしようかとも思ったほど。吹奏楽は東京佼成ウィンドオケの定期演奏会も行ったが、通常の演奏だと、どうしても弦楽を管楽器に置き換えただけという印象で物足りなさを感じるのだが、こちらの演奏会ではマーチングあり、ジャズあり、ポップスあり、合唱あり、と縦横無尽の演奏で吹奏楽の新たな一面を見せてくれる。そのサービス精神こそ、吹奏楽の魅力かもしれない。


2001ワーストコンサート
【第1位】

2001年10月24日(水)
ミュンヘン交響楽団
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
指揮:抜井厚、ヴァイオリン:アラベラ・シュタインバッハー
曲目:
ベートーヴェン/付随音楽「エグモント」序曲 作品84
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品61
ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」
(アンコール:ベートーヴェン/祝賀メヌエット)
(アンコール:山田耕筰/赤とんぼ)
(アンコール:ベートーヴェン/「エグモント」より)

やはり、というか不安が的中した演奏会。りゅーとぴあの3周年記念事業にしてはお寒い内容。楽団員は半分旅行気分かステージから記念撮影。ちょっと招聘側に問題を感じたプログラムだった。

【第2位】
2002年12月19日(水)
りゅーとぴあ・ピアノ・リサイタル・シリーズNo.9 梯剛之
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
曲目:
モーツァルト/ロンド ニ長調K.485
モーツァルト/幻想曲 ニ短調K.397
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第12番 ヘ長調K.332
リスト/巡礼の年第2年イタリアから
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調作品57「熱情」
(アンコール:ショパン/前奏曲「雨だれ」)
(アンコール:ショパン/夜想曲第13番)
(アンコール:ショパン/夜想曲第8番)

2001年はほとほと観客のマナーの悪さに泣かされた1年だった。この日のコンサートも最初から最後までむずかる子どもが気になって集中できなかった。他にも、小山実稚恵、ニコライ・トカレフなどのピアノリサイタルはひどかった。未就学児童は入場お断りと書いてあるにもかかわらず拒否できない主催者・ホール側の対応に問題を感じざるを得ない。

【第3位】
2001年10月24日(水)
イ・ムジチ合奏団(I MUSICI)結成50周年記念日本公演2001
会場:りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館コンサートホール
曲目:
パッヘルベル/カノン
ドヴォルザーク/2つのワルツ イ長調作品54−1、変ニ長調作品54−4
モーツァルト/セレナード第13番 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525
ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」(「和声と創意の試み」作品8より)
(アンコール:J.S.バッハ/管弦楽組曲第3番より「アリア」)
(アンコール:ポッケリーニ/メヌエット)
(アンコール:山田耕筰/赤とんぼ)
(アンコール:ヴィヴァルディ/コンカ)

演奏の期待はずれではイ・ムジチも相当のもの。50年前には新鮮だった演奏も今や色あせて衰えきっている。ネームバリューだけで50年はさすがに持たない。クラシックといっても同じことをただ繰り返しているだけでは駄目だということを考えさせられた。